劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命
劇場公開日 2018年7月27日2018年7月26日更新
不安は自信に、迷いは強さに―― 山下智久ら“5人”が語る「コード・ブルー」の10年間
ドクターヘリが題材の人気ドラマシリーズを初めて映画化した「劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」が、7月27日に全国公開を迎える。10年間にわたりシリーズに出演し続け、作品とともに成長してきた山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介が、インタビューに応じた。彼らの口から語られたのは、仲間と育んできた絆への、率直な思いだった。(取材・文/編集部、写真/間庭裕基)
2008年に放送がスタートし、リアルな医療・災害・事故現場の描写や、主人公らによる人間模様が人気を博す「コード・ブルー」。シリーズ10周年の節目に封切られる劇場版では、救命救急センターで職務を全うする藍沢(山下)らが、「成田空港」と「海ほたる」で立て続けに発生した大事故に直面する。
映画が始まるや藍沢の「3rdシーズンまでのコード・ブルー」という声が鳴り響き、ドラマ版を振り返る映像がスクリーンいっぱいに広がる。第1期ではまだ頼りなく、大きな痛手を伴う失敗や葛藤を繰り返していたが、シーズンを重ねるごとに自立していく藍沢たち。不安は自信に、迷いは意志の強さに変えていった5人が、今度はテレビではなく、劇場で命と向き合う。轟音を立てて飛翔したドクターヘリが成田空港に向かい、白石恵(新垣)らは即座に患者への最善の処置を施していく。満を持して本タイトルが表示されるまでの約20分間、シリーズを見守り続けてきたファンの胸には、言葉にはできない感慨が押し寄せてくるはずだ。
山下は「第1期に参加したとき、僕は23歳。若気の至りですけど、尖っていたというか(笑)、自分がどう表現するかばかりを考えていました。藍沢もそうだったんです。自分の腕を磨きたい気持ちが全面に出てしまっていて、周りを見ていなかった」と、当時の“出会い”に思いを馳せる。「(10年の)第2期も、大人になりきれていなかった。その時は僕も25歳で、がむしゃらに空回りしていて、藍沢と同じ感覚が強かったんです。役どころと自分の人生が、リンクしていたと思います。そこから7年経ち、いろんな経験をして、僕自身が人間を好きになれた。人のことを知りたいと思えるようになった。藍沢のセリフで『今は“誰か”のために医者をやっているんだ』というものがあります。僕自身も、自分のためではなく、“その先の誰か”に影響を与えられたら、という思いで仕事をさせてもらっています。自分の経験を、いい意味で反映できたと思っています」。
山下の言葉からは、この10年間は現実の自分と作品の役どころがリンクし、ともに成長してきた経路が垣間見える。生真面目な性格ゆえに苦労が絶えなかった白石役の新垣は、「ドラマ第1期と比べると、ちょっとだけ声が低くなりました」と笑いながら、「シーズンを重ねるごとに、スタッフさんたちが、お芝居を任せてくれる機会が増えたんです」と明かす。情熱を全面に出す緋山美帆子役の戸田も「私も、だいぶ声が低くなりましたね」と同調し、「私もトゲが強かったなと、第1期と第2期の私の顔を見て感じます。でも今は、そのトゲは強さに変化して、同時に、その強さが包容力に変わっていくのも感じています。いい意味で丸くなれたし、4人のことも、フェローのこともちゃんと見守られる。だからこそ(第2期から第3期までの)7年間の空白は大きかったと、改めて思います」としみじみと述べた。
万感の思いを言葉に込める山下たちに対し、比嘉&浅利は息の合った掛け合いで周囲を和ませていく。初期から共演する“5人”の良好な関係性において、比嘉と浅利が支えている部分は大きいだろう。現場でも妄想の対象となっていたという、ドラマ第3期で結ばれた冴島はるか(比嘉)&藤川一男(浅利)の“結びつき”と“将来”について言及した。
比嘉「第3期が始まるまでの空白期間で、急展開したのは藤川と冴島の関係性ですよね。いきなり同棲していたので、そこはいろいろ想像しました。藤川は、どうやってアプローチしたのか。冴島はどう受け止めて、同棲したのか。スピンオフをやりたかったくらいです」
浅利「ほのぼのしていたと思うよ。『僕は死にましぇん!』みたいなことは言ってないと思う」
比嘉「将来の冴島には、子どもを産んでいてほしい。看護師として働きながら、子育てもしてそう。あと藤川は、主夫をやっているんじゃないですか?」
浅利「将来は頑張って、故郷・山梨で『藤川外科』を開業していたい! 手伝ってもらっている冴島に『そこはもう縫ったから』とツッコまれる藤川。想像がつきますねえ」
比嘉「え~? 主夫はどうするの! 意見の食い違いがあるので、もしかしたら離れているかもしれないです(笑)」
また山下は、入念に練られた「コード・ブルー」のキャラ造形について、こんなことを明かす。「増本淳プロデューサーいわく、『(台本を読むなかで)コード・ブルーのセリフは、名前を隠しても誰が言っているかがわかる』。それくらいキャラ設定がしっかりしているんです。台本を読んでいると、自然と『藍沢ってこうだよな』『白石ってこうだよな』と思えて、演じることが難しくないんです」と説明しながら、「でも、たまに藍沢っぽくないところがあって。映画の終盤、バー『めぐり愛』に行くシーンでは、『こんな一面があるんだ』と、逆に演じていて楽しかったです。詳しくは言えないですが、僕自身も撮影していて『こういう時、どうしたらいいかわからない!』と思っていました」と愉快げに語った。
この10年間で、山下たち自身も、彼らを取り巻く状況自体も大きく様変わりした。これまでのキャリアに思いを馳せ、人生を振り返るたびに脳裏に浮かぶのは、いつだって「コード・ブルー」のことであり、同作で絆を育んできた仲間たちのことだった。
比嘉は「5人は戦友であり、それぞれが別の作品で頑張っている姿を見て嬉しくもなり、頑張ろうと思える。そう感じられる人と作品は、そうそう巡りあえるものではありません。幸運だったなと、本当に思います」といい、山下は「僕が死ぬ時は、みんなのことを思い出すだろう。映画を見ながらそう思いました。人生で大きな作品です」と飾ることのない率直な思いを告白する。
キャストという縦糸と、スタッフという横糸が10年かけて丁寧に織り上げてきたタペストリーは、ひとまずの完成を迎えた。劇中、藍沢はドクターヘリを目の前に、白石&緋山&冴島&藤川を背にしながら、「出会って10年。1日のほとんどを病院でおまえたちと過ごした」と、誰ともなく語りかける。山下ら“5人”の提案により台本に加えられ、増本プロデューサーが「最大の見せ場」と確信したシーンだ。シリーズとともに大切な時間を過ごしてきたファンは、どんなことを思うだろうか。「今作で10年間のアルバムを作ってもらった、という気がしています。皆さんにも、同じ思いで見てもらいたいです」と、新垣ははにかんだ笑顔を仲間に向けた。
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映画レビュー
- 平均評価
- 3.7(全2件)
- いい映画だとは思えないけれど面白い!特にドラマのファンというわけでもないし、出演陣の誰のファンでもないけれど、常々ドラマを見て思っていたのは、何でこんなにも面白さを感じてしまうのだろうということ。絵もそれほど優れているとは思えない... ...続きを読むSHさん 2018年7月18日 18:07 評価:4.0
このレビューに共感した/3人 - 藍沢の発言が深いっ舞台挨拶付き試写会に行きました。 試写会はこれだけだそうで、当たってラッキー! 先に見られてラッキー!! いい映画を見られてラッキー!!!!! 実は「コード・ブルー」シリーズを全然見たことがな... ...続きを読むrunaさん 2018年7月14日 15:01 評価:4.5
このレビューに共感した/5人
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