2022年11月28日月曜日

比嘉愛未 | NHK人物録 | NHKアーカイブス

比嘉愛未 | NHK人物録 | NHKアーカイブス
































これまでの出演番組

比嘉愛未

連続テレビ小説 どんど晴れ(2007)

加賀美夏美役

連続テレビ小説 どんど晴れ


比嘉愛未

比嘉愛未俳優ひがまなみ

1986年生まれ、沖縄県出身。2005年、映画『ニライカナイからの手紙』で俳優デビュー。ドラマ『コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』シリーズ、『DOCTORS 最強の名医』シリーズ、『恋愛時代』『本日は、お日柄もよく』『剣客商売 手裏剣お秀』『推しの王子様』『日本沈没-希望のひと-』、映画『大綱引の恋』『吟ずる者たち』などに出演。NHKでは、連続テレビ小説『どんど晴れ』で主演を務め、『なつぞら』、大河ドラマ『天地人』、BS時代劇『酔いどれ小籐次』、プレミアムドラマ『盤上のアルファ』などに出演。夜ドラ『作りたい女と食べたい女』では、「作りたい女」野本ユキを演じている。

連続テレビ小説 どんど晴れ(2007)

加賀美夏美役

連続テレビ小説 どんど晴れ

インタビュー

 オーディションを受けたのが20歳でオンエアが始まったのが21歳のときでした。芝居のオーディションは沖縄にいたときに一度だけ受けさせていただきましたが、モデルをしていたので、上京してからお芝居のオーディションを受けることは初めてでした。上京する際に親から、女優として芽が出るまでに一年だけ猶予をもらえたので、「これが決まらなかったら帰らなきゃ」と願いを込めて受けたんです。でもすごく力んで受けたわけではなく、むしろ東京でこんな大きなオーディションの機会をいただけたことが嬉しかった。お芝居もほぼ未経験で、なにも知らないからこそ、突進することができたのだと思います。あとから『どんど晴れ』のプロデューサーの方にお聞きしたのは、私があまりにも沖縄なまり全開であっけらかんとしていて新鮮だったということでした。それが傍から見ると夏美にリンクするところがあったそうです。なにも知らない女の子が女性として一人前に成長していくことを見守るのが“朝ドラ”のルーツだともおっしゃっていただきました。本作で知り合った監督さんやスタッフの方々は今も仲良くさせていただいていて、私をこの世界に導いてくださった恩人だと思っています。

加賀美屋を初めて訪れた夏美は素手で鶏を捕まえ、周囲を驚かせる

 当時は役作りなんて考えられないくらい、その場に立ってセリフを言うことだけで精一杯でした。でも一番大変だったことは体調管理です。私が倒れたらすべてがストップするという責任感、重圧感がありました。食堂で食べるだけでは栄養が偏ってしまうので、自分で野菜スープを大量に作って持参していました。当時は“朝ドラ”のヒロインには楽屋がなかったので、私は皆さんが見えるカウンターの角を陣取って、スープを入れたポットを置いて、台本を5冊くらい広げて毎朝「おはよう」と、前を通る皆さんにあいさつをしていました。あえて共演者やスタッフの皆さんと離れないように楽屋がなかったのでしょうね。いつも誰かが気にかけてくれる距離感でもあり、スタジオの前室からは少し離れているので、ひとりにもなれる絶妙な場所で、皆さんが見守ってくれていることをいつも感じていました。

 岩手ロケはたくさん思い出があるのですが、一本桜のある小岩井牧場の景色は本当に一枚の絵のようで、嘘みたいに綺麗でした。物語の終盤、岩手で行われる“さんさ祭り”という大きなお祭りに加賀美屋の皆さんと参加するシーンがあるのですが、この撮影が一番印象に残っています。さんさ祭りは岩手の皆さんが大通りでさんさ踊りを踊るんです。そのときに地元の皆さんにはなにも言わずに加賀美屋のみんなでギリギリまで隠れていて、「今だ!」と言って途中から加わって撮影をしたんです。一発本番だったので、事前に踊りを練習して臨みましたが、皆さんがどう反応してくださるのか心配でした。でも地元の皆さん全員が盛り上がって迎えてくださって、岩手の方たちと一体になれた感じがしました。物語も後半でしたし、加賀美屋もひとつになって絆が深くなり、それをまた岩手の皆さんが包んでくださって、なんともいえない高揚感がありました。岩手が舞台で本当に良かった。撮影後にはうるま市・盛岡市友好大使としてご縁をいただけたのでとても幸せです。今も岩手に行くたびに「ただいま」と言いたくなる場所です。

小岩井牧場 夏の一本桜
出演者たちがサプライズ参加した“さんさ踊り”

 加賀美屋の大女将役の草笛光子さんとは親しくさせていただいて、二年前の初舞台も観に来てくださいました。お食事にも連れていってくださって、女優として大事なことを教わっています。草笛さんは周りには見せないですが努力家ですし、常に探究心があって前を向かれている方なので、本当にその生き方にあこがれています。私も草笛さんのような女優さんになりたい。長門裕之さんも大好きなので、亡くなられたときはショックでした。岩手では長門さんが行かれていた焼肉屋さんによく連れていっていただきました。長門さんが亡くなられてからそのお店に行ったときに大将が「長門さんが比嘉さんのことを褒めていてね。“あいつは大丈夫だ”と言っていたよ」とお聞きしたんです。私の前ではそんなことを言わない方だったので、よけいに気持ちが込み上げてきて泣いてしまいました。そういう素敵な先輩たちと出会えたこともあり、本当に『どんど晴れ』は私の宝物のような作品です。

加賀美屋の大女将・カツノ(草笛光子)
頑固な南部鉄器職人・平治(長門裕之)

 今考えても夏美は私だったと思います。頭で考えるのではなく、感じたままに心のままに動いてしまう。そんなところがすごく似ているなと。夏美役でなかったら私は選ばれていなかったでしょうし、夏美はほかの人に演じてほしくないほど思い入れが強いんです。運命の引き寄せなのか、夏美がいたからこそ私の役者人生がスタートしたと思っています。今も心が折れそうになったときやパワーがほしいときは『どんど晴れ』を見返して「ここから頑張ってきたんだ。私はもっとやれる!」と思うようにしています。『どんど晴れ』はこの先一生、くじけそうになったときに必ず立ち返る作品ですし、私の原点だと思っています。

夏美は柾樹と結婚、若女将として加賀美屋を支えてゆく

大河ドラマ 天地人(2009)

菊姫役

大河ドラマ 天地人

インタビュー

 大河ドラマは格式がありますし、出演されている方が皆さん主役クラスで、とても緊張しました。菊姫については実在された方なので、しっかり調べて、本人に失礼がないように芯を持って演じないといけないと思いました。お墓にも行かせていただき、勉強もして、準備をしっかりしてから挑みました。それでも撮影に入ると独特の緊張感に押しつぶされそうで毎回、手が震えていました。菊姫は殿の正室なので、妻夫木聡さんや常盤貴子さん、周りの皆さんが「ははーっ」とひれふすような役なんです。ひれふされるたびに「ウソでしょ?」と思って恐れ多かったですね。でも皆さんすごく優しくて、不慣れな私をケアしてくださいました。心強かったのは『どんど晴れ』のカメラマンさんや照明さん、プロデューサーさん、脚本家の方も同じで、まさに“朝ドラチーム”だったんです。そんな気心知れた方たちがいらしたからこそ、大河ドラマという作品にも思い切って踏み込めたのだと思います。

武田信玄の娘・菊姫にとって上杉は宿敵
兼続(妻夫木聡)らの優しさにふれ、心を開いてゆく

BS時代劇 酔いどれ小籐次(2013)

おりょう役

BS時代劇 酔いどれ小籐次

インタビュー

 この作品は何と言っても竹中直人さんとの出会いが大きかったです。ずっと小籐次さんのことが大好きな、昔ながらの奥ゆかしい……一歩どころか二歩も三歩も引いて見守っているような女性の役だったので、楽しかった思い出しかないですね。時代劇は所作や言葉づかいが難しかったりするんですけど、竹中さんがいらっしゃるだけで場がすごく和むんですよ。ピリッとさせるような空気を感じると、すかさず和ませてくださって。そんな竹中さんが座長の座組にいられて幸せだなぁ、と思いながら3か月間お芝居をしていました。

 撮影の合間の雑談で、「どうして、このお仕事をされたんですか?」と聞いたことがあるんですけど、最初は美術の学校から始まって……お笑いをやってみたり、試行錯誤をされて役者をしたり歌ったり監督をしたり、いろいろとご自身の可能性を広げて追求していったというお話を聞くにつれ、尊敬の念が深まっていって、すごく刺激を受けましたね。

 小籐次のメリハリのつけ方が竹中さんと重なって、すごくピッタリのハマリ役として演じていらっしゃって。私は純粋にそんな竹中さんの人間味が大好きで、役づくりではなくどんどん愛情が深まって、仲良くさせていただきました。そういう意味でも、「人との出会い」の大切さをしみじみ実感した作品です。

赤目小籐次(竹中直人)は大酒飲みだが心優しい剣の達人
水野家の奥女中おりょうは小籐次の人柄にひかれてゆく

 最近はお会いできていないんですけど、この作品の撮影後に〝竹中会〟なる、竹中さんがオススメする映画を一緒に観に行って芝居談義をする──といった会を催してくださったりと、私のような後輩をかわいがってくださったので、貴重な出会いだったなと思います。映画をあまり観ていなかった私に、「これは観た方がいいよ」と、どんどんオススメの作品を教えてくださって、会うたびに魅了されました。ストイックに仕事に取り組みすぎてガチガチになるのではなくて、趣味のごとく楽しんでいらっしゃる姿が、「こんな大人になりたい」と思わせてくださるんです。NGを出したくなくて、ついつい真面目になりすぎてしまいがちな私に、柔軟に新しく発想を広げていくことの大切さを教えてくださった素敵な先輩との出会いでしたので、印象に残っています。

おりょうが気になる小籐次の目にこんな幻が…

 また、津川雅彦さんからもたくさんのことを学ばせていただきました。初めての共演でしたが、時代劇に取り組む姿勢や心構えなど、本当に数々教えていただきました。『盤上のアルファ』の近藤正臣さんもそうですが、単に役を生きるだけではなく、ご自身に人間力のある先輩方のような“役者”に私もいつかなれたら──と思います。

 また、自分のコンプレックスを克服するきっかけの作品という意味でも、思い出深いですね。かつて「デコ」というアダ名をつけられたこともあって、自分の広いおでこがすごく嫌いだったんですけど、おりょうという役は思い切って前髪を上げる扮装だったので、最初はどうしたものかなと思いつつ……徐々に気にならなくなっていって。細かいながらも成長できたと思えたのも、収穫でした。

紙問屋の主人・久慈屋昌右衛門(津川雅彦)は命の恩人である小籐次の世話を焼く

 この時のプロデューサーが『盤上のアルファ』も手がけていらっしゃる佐野元彦さんなんですけど、『酔いどれ小籐次』もシリーズ化してほしかったなぁ(笑)。ただ、竹中さんは1人で何十人も相手に殺陣をなさるので、大変なんですよね……。激しい動きが少ない私が言うのも何ですが、いつかまた竹中さんの演じていらっしゃる小籐次と再会できることを願っています。

土曜ドラマ
バカボンのパパよりバカなパパ(2018)

赤塚眞知子役

土曜ドラマ バカボンのパパよりバカなパパ

インタビュー

 プロデューサーが『どんど晴れ』 でご一緒した内藤愼介さんで、ずっと前から『バカボンのパパより~』のドラマ化を企画されていることを聞かされていたんです。そのお話を聞いて、「実現したら、眞知子さんを演じたいです!」と自ら立候補しました。普通に考えてみると、元妻とその娘、そして現在の妻がいる……という関係性は複雑なんですけど、みんな仲がいいというところに、不思議と魅了されたんです。赤塚りえ子さんの原作を読んだ時に笑って泣いて──何とも濃い人生を歩まれた赤塚不二夫さんという人だからこそ、人に夢を与えるマンガを描くことができたのだろう、と。それでいて、思いきりバカなことができる。でも、ただのバカじゃないんです。そんな不二夫さんを見事なまでに体現なさった玉山(鉄二)さんを中心に、2か月というけっして長くはなかった撮影期間ですけど、本当に家族のように過ごしていました。

 控え室がそれぞれ用意されていたんですけど、誰もそこへは戻らず、スタジオの前室にいて他愛もない話をしたり、時には真面目な話もしたり。そうこうするうちにスタッフの方からお声が掛かり、「あ~、まだ話していたいのに~」なんて言ったりして(笑)。レギュラーの出演者もわりと限られていたこともあって、常に和気あいあいとしていた現場でしたね。

眞知子は天才ギャグ漫画家・赤塚不二夫(玉山鉄二)の2番目の妻
2人を結びつけたのは前妻の登茂子(長谷川京子)で…!
登茂子は離婚した後も眞知子とともに不二夫を支え続ける

 眞知子さんという女性も『酔いどれ小籐次』のおりょうと似ていて、奥ゆかしく支えるタイプでしたが、『盤上のアルファ』の斎藤恵子も〝見守り型〟と、わりと共通するところがある女性像を演じることが多くて。ただ、自分にはあまりない部分なので(笑)、役を通して学んでもいるんです。何か月も同じ役を演じていると自然と影響されますし……相手のことを待ち、支えることができる人ならではの強さを知るという──。不二夫さんのように秀でた人物の陰には、必ず縁の下の力持ちの存在があることをあらためて実感したという意味でも、とてもいい経験になったなと思っています。

 ちなみに森川葵ちゃんとも、以前別の作品で共演したことがありましたが、この作品での共演がきっかけですごく仲良くなって、今でも時々ご飯を食べに行ったりしています。現場では自分からオープンなマインドで受け入れる態勢をとるんですけど、葵ちゃんも遠慮せずに飛び込んできてくれたので。でも、そういうスタンスで臨むことを教えてくださったのは、心から尊敬してやまない草笛光子さんなんです。『どんど晴れ』に始まり、この『バカボンのパパよりバカなパパ』でもご一緒させていただいた憧れの方に、少しでも近づけるようにこの仕事を長く続けていきたいですね。この先、良いこともそうではないこともあると思いますが、進化していけるように楽しみながらお芝居に取り組んでいこうと思います。

不二夫と登茂子の一人娘・りえ子(森川葵)
眞知子はりえ子にとってもう1人の母、そして姉のような存在

プレミアムドラマ 盤上のアルファ
〜約束の将棋〜(2019)

斎藤恵子役

プレミアムドラマ 盤上のアルファ〜約束の将棋〜

インタビュー

 撮影が始まる前は、将棋のことがまったくわからない初心者でしたが、イメージとしては盤を挟んで静かに行うものだと思っていました。ところが、そうじゃないんですね。上地雄輔さん演じる真田(信繁)が、だんだんとサムライに見えてくるんです。刀は持っていないですけど、これこそ真剣勝負と言いますか……内なる熱量をもって刃を向ける戦いが盤上にはあるのだな、と私なりに感じました。ジッと座っているだけじゃない──魂レベルで命を懸けて戦う世界であり、時代劇やスポーツにも通ずる厳しさのある世界だなという印象を抱いています。そうやって盤の前にたたずんでいる棋士の方々を女性目線で見ると、すごくかっこいいんですよ。頭脳戦だけにとどまらない意外性もあったりして、将棋というものの激しさや厳しさを味わうことができたのは、とても良い経験でした。

一度はあきらめたプロ棋士を目指し、将棋に情熱を注ぐ真田(上地雄輔)

 玉木宏さんの演じられた秋葉隼介は当初、口ばかりが先に立つ、ちょっといらだたしく感じる彼氏なんですけど、真田と出会い、「純粋に応援したい」と思うことで変わっていきます。人は出会いひとつでこんなにも変わり、成長し、進化できるんだと思いましたし、それこそ純粋に感動しました。そんな中、近藤正臣さんの演じられた千田正三先生がピリッとドラマを引き締めてくださっていたり……ひと言では言いきれないくらい見応えのある作品になっています。第1話は、私が演じる恵子の登場シーンがあまりないんですけど(笑)、後半の方では、玉木宏さん演じる秋葉隼介と堀井新太さん演じる伊達和寿七段との間で揺れる恋愛模様が描かれますので、女性のみなさまにはそういった部分も観ていただけるとうれしいです。

新聞記者の隼介(玉木宏)は恵子の話も聞かず自分のことばかり
恵子は“距離を置いた方がいい”と隼介のもとを去る

 NHKで制作されるドラマは、民放とはひと味違う題材を扱っていることが多くて、それがとても魅力ですね。ただ、朝ドラ(『どんど晴れ』)でデビューしたこともあって、NHKのドラマにたくさん出ているイメージを持たれているようなんですけど、実は『盤上のアルファ』で6作目なんです。12年で6作だと……単純計算で2年に1作のペースなので、もっと“NHKっ子”になりたいな、なんて(笑)。でも、撮影や収録でスタジオに来ると、「ああ、ホームだなぁ。ただいま」という気持ちになりますね。以前にお仕事をしたスタッフの方々や役者さんたちと二度、三度とご一緒するご縁を紡げるのが、役者という仕事の醍醐味だなと思いますし、その思いは年々強まっていて。ただ、新たな作品を通じて再会する楽しみを自分が堪能するだけではなく、私も先輩たちのように後輩に良い影響を与えていく人間になりたい、いえ、ならないといけないなと思っています。

伊達棋士(堀井新太)は恵子の務める小学校の将棋クラブを指導する
将棋担当になった隼介が取材に訪れ…

夜ドラ
作りたい女と食べたい女(2022)

野本ユキ役

夜ドラ 作りたい女と食べたい女

インタビュー

 料理を「作る」ことが好きな女性と、「食べる」ことが好きな女性の交流を通して、女性を取り巻く現実や、女性同士の連帯、そして2人の間で育まれる恋愛を描いた作品です。私は、料理が好きな「作りたい女」野本ユキを演じています。今回、出演のお話をいただいて、初めて原作を読み、一気に引き込まれました。穏やかに進んでいく2人の日常や交流がとても心地良くて。読み進めていくと、自分らしさとは何かを考えさせられる、深いテーマがあることに驚きました。

 野本さんは、食べることが好きな春日十々子さん(西野恵未)に出会い、作った料理を食べてもらうことが自分の生きがいだと実感。さらに、春日さんと交流していくなかで、彼女に対する好意に気づき、どんどん自分を確立していきます。周りの友達が恋愛や結婚をして、変わっていくなかで「自分はどうなんだろう」と、世間で当たり前とされることとの違いを感じて葛藤することも。でもそれは、「普通って何?」という違和感をちゃんと持っているからこそ。多くの人が枠組みから外れてはいけないと思って生きているけれど、野本さんは、「みんなにとっての普通は、自分ではどうなんだろう」と流されずに考えることができている。そこには、ピュアだからこその強さを感じますね。

 春日さん役の西野さんは、とにかく素晴らしい人です。放送が始まったらきっと、「この役者は、誰だ!」と、みなさん注目すると思います。普段はピアニストとして活躍されていて、お芝居は全くの未経験。ですが、一緒にいて安心感があって、どんな私でも受け入れてくれるような器の大きさを感じました。

 一番印象に残っているのが、撮影初日。セリフ量も多く、たくさんのスタッフさんに囲まれての初めての撮影に、西野さんは「楽しい」と言っていたんです。私だったら、絶対に緊張していたと思います。お芝居中も、「ピュアな子供か!」とツッコミたくなるぐらいキラッキラした表情で、まっすぐに私にぶつかってきてくれました。彼女といることで、初心を思い出しましたね。

 このドラマは、自分らしさとは何かを考える際のヒントをくれる、教科書のようだと感じています。原作ファンの方の期待を裏切らないように、全身全霊で野本さんと春日さんの優しい空間を作ることを心がけました。二人の穏やかな空気感を味わいながら、視聴者の方それぞれの「自分らしさ」を見つけていただけたらうれしいです。

※類似の氏名が検索される場合があります。

0 件のコメント:

コメントを投稿

ブログ アーカイブ