2018年1月28日日曜日

新製品発表会でパナソニックが「レッツじゃなくていい」と言ったワケ 2018年 01月27日 09時00分 マイナビニュース

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新製品発表会でパナソニックが「レッツじゃなくていい」と言ったワケ

新製品発表会でパナソニックが「レッツじゃなくていい」と言ったワケ

画像提供:マイナビニュース

働き方改革の支援で「レッツじゃなくていい」

キャンペーンキャラクターの比嘉愛未さん。手に持つPCは「Let's note SV7シリーズ」

「Let's noteじゃなくていい」というタイトルを裏切る形になるが、パナソニックは2016年度に32万台のレッツノートを販売し、現時点で2017年度の販売見通しは40万台と「21年目にして最高記録だ」とパナソニック コネクティッドソリューションズ社 常務 モバイルソリューションズ事業部 事業部長の坂元 寛明氏は話す。

好調な事業環境を背景に浮かれ気分なのか……というとそうではない。

この日、パナソニックはレッツノートの新製品「Let's note SV7シリーズ」を発表した。最新の第8世代インテル Core vProプロセッサーを採用し、クアッドコアによる高性能化を達成しながらも、レッツ最大のウリとなる堅牢性を維持し、光学ドライブ、Thunderbolt 3を搭載。それでいて1kg切りとなる重量999gを達成した渾身の自信作だ。

では、何が「レッツじゃなくていい」のか。
○レッツ限定と他社製PC OKの使い分けも

それが、新製品に合わせて発表した「働き方改革支援サービス」だ。このサービスでは、社員一人ひとりの働き方を可視化することで、従業員自身が働き方を見つめ直して意識を変えることを目指す。具体的には、これまで提供してきた「HDD/SSD遠隔データ消去サービス」に加え、「ストレスチェックサービス」と「ソフトウェア型VPNサービス」「可視化サービス」を提供する。

ストレスチェックサービスはパナソニックが開発した「非接触バイタルセンシング」技術を活用し、PCのフロントカメラで捉えた顔画像からリアルタイムで脈拍数を測定。脈拍の変動からストレスレベルを推定して、社員のストレスレベルをチェックする。また、HDD/SSD遠隔データ消去サービスでは、ワイヤレスWANモデルの場合にリモートで電源をオンにしてPCデータの消去を可能にする。いずれもハードウェアレベルでのチューニングが必要なこともあり、レッツノート限定の機能となる。

一方で「レッツじゃなくていい」機能はソフトウェア型VPNサービスと可視化サービスだ。企業のプライベートクラウドに接続したり、各種機密データを公衆無線LANなどでやり取りする場合にVPNを活用する事例が増えている。また、一部海外ではクラウドサービスへの接続ができないケースもあるため、VPNは必需サービスとも言える。

こうしたニーズに対して、米ネットモーションソフトウェアが開発したモバイルVPN「NetMotion Mobility」を使用したクラウドサービスとして、パナソニックが提供する。クラウドのVPNサーバーはパナソニック自身がシステム運用しており、独自の技術を活用してニーズの高いビデオ会議ソリューションの動画品質を保つという。

そしてパナソニックが一番の目玉とするのが「可視化サービス」だ。これまでにもPCのログ取得サービスはさまざま存在するが、パナソニックはログイン・ログアウトに加えてキーボードやマウス操作の時間、利用アプリの可視化を行った。これらのデータは円グラフや積み上げグラフ、時間軸などさまざまなグラフで表示。働きすぎていないか、働きの質が偏っていないかなど、定量的評価の判断が可能となる。

○可視化サービスは"意識改革"

パナソニック コネクティッドソリューションズ社 モバイルソリューションズ事業部 マーケティングセンター 営業企画部 部長の西谷 裕之氏は、働き方改革の本質は個人の生産性を向上させることであり、生産性の向上には「意識を変える必要がある」と話す。

「『意識』を取り巻く形で仕事がある。しかし、非主体業務時間と主体業務時間の切り分けや割合は自分自身で判断が難しい。意識を変えるには"可視化"が必要であり、これはダイエットに似ている。自身の体重の変動などを意識して減らすように、自分がどんな仕事をしているのか可視化すれば意識は変えられる。意識が変えられれば、非主体業務を減らせ、生産性の向上につながる」(西谷氏)

可視化サービスは、社員を管理するための労務管理ソリューションにも見えるが、パナソニックとしてはあくまで意識改革のためのツールだと話す。実際、平均的な社員がどういう働き方、アプリの利用傾向があるのかを見られるようにすることで、本人の意識の変容を促す。もちろん管理ソリューションとしても利用でき、例えばプロジェクト単位で使用するアプリのカテゴリ分けを行い、削減すべき業務、集中すべき業務のよりわけなどが可能になるという。

昨夏の段階でさまざまな業種・業態の企業に同サービスを打診したところ、100社超の企業が導入を検討。PC1台あたりの利用価格は月額1500円程度で、デスクトップ混在の環境も踏まえての一括導入を目指すべく「レッツじゃなくていい」を実現した。2015年に総務省が調査したテレワーク導入率は16.2%であり、そうした企業を中心に4年で累計20万台の導入をめざすという。単純計算でレッツノートの今季販売見通しが継続するとして、1/8の企業が導入する計算だ。テレワーク導入率ともほぼ合致する。これをさらに上向きにさせるためには「レッツじゃなくていい」ということなのだろう。

●ソリューションの価値最大化は「難しい」
パナソニックは、「変わる、パナソニック。」でも特集したように、昨年から自社でも働き方改革を推進してきた。Skype導入によるテレワークの推進のみならず、オフィス移転やオープンスペース化など、ITソリューションありきではないトータルでの働き方改革を行っている。この姿勢は、ほかの企業でも注目したい事例だろう。

坂元氏は、働く姿勢の変化という勢いそのままに「(レッツだけではない)どんどん付加価値サービスを提供していきたい」と意気込む。それは、以前はレッツノート/タフブックというPC単体だけで製品を販売していた時代から「業界軸でソリューション化している」(坂元氏)時代に移り変わった環境に合わせた"改革"だ。実際、ヨーロッパではゼテスという物流系ソリューションを提供する会社を買収しており、タフブックとの組み合わせで販売を増やしている。

「お客様の声に耳を傾けて、そこから課題を見つけ出し、ソリューションとして提供することで価値を最大化することが、感覚的に難しい」とは、コネクティッドソリューションズ社 社長の樋口 泰行氏の弁だが、出だしで100社の検討は上々の滑り出し。この勢いを継続できるかどうかは、パナソニック自身が行う"改革"の質にもかかっている。
(徳原大)

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