2023年10月16日月曜日

雑誌『からだにいいこと』公式さんによるXでのポスト

比嘉愛未×三浦翔平インタビュー 映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』「自分自身のことも、人のことも許せたときに本当の愛情が生まれる」(後編) | THEATER GIRL

比嘉愛未×三浦翔平インタビュー 映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』「自分自身のことも、人のことも許せたときに本当の愛情が生まれる」(後編) | THEATER GIRL





比嘉愛未×三浦翔平インタビュー 映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』「自分自身のことも、人のことも許せたときに本当の愛情が生まれる」(後編)

2023年10月6日(金)から公開される、映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』。

本作は、認知症、知的障害、精神障害などによって、十分な判断能力が伴わない本人に代わって法的な契約行為を行う「成年後見制度」の問題をテーマに、「相続」と「家族」の物語を描きます。

舞台は、三重県の伊勢志摩。真珠の養殖を営む大亀家の母・満代が亡くなり、認知症の疑いのある父・仙太郎に、財産管理の弁護士で成年後見人である弁護士・城島龍之介が近づく。時価6億円の真珠を巡り、巨額な財産をめぐって巻き起こる大騒動とは。映画「利休にたずねよ」「天外者」でタッグを組んできた、監督・田中光敏さん、脚本・小松江里子さんという最強タッグが織りなす、命でつなぐ家族の物語。

ダブル主演を務めるのは、比嘉愛未さんと三浦翔平さん。比嘉さんは大亀家の三女・遥海を、三浦さんは成年後見人として大亀家と関わる弁護士・城島龍之介を演じます。自分の利益ばかり優先する城島と、そんな城島に対立する遥海。予想外の連続に「学び」「笑い」「涙する」ハートフル・エンターテイメントに乞うご期待。

今回THEAER GIRLでは、比嘉さんと三浦さんにインタビューを敢行。後編では、撮影で印象に残っていること、本作への意気込み、お二人が考える「自分らしい生き方」についてうかがってきました。

インタビュー前編はこちら

劇中の突如訪れるダンスシーンに戸惑いながらも、今は「やっちゃっていいんだ!」と思える

――本編はドタバタしたシーンからシリアスなシーンまで、さまざまな要素が楽しめる内容ですが、撮影で大変だったことや印象に残っていることをぜひ教えてください。

比嘉:やっぱりあの迫真のダンスシーンですよね!?

(突如、皆さんがダンスするシーンがありますので、お楽しみに)

三浦:あれは、いまだに僕はハテナついてますよ(笑)?

比嘉:あははは(笑)。いや、みんなもきっとそうだと思いますよ。観ている人は「なんで急にここで?」って(笑)。

三浦:でも不思議なことに、あのダンスシーンを見た瞬間は「なんで?」と思うんですけど、よく考えてみてください。終わったあとは、ダンスシーンのことが頭にあまりない。

比嘉:(笑)。すごくないですか!

三浦:急にダンスして。

比嘉:まさに『RRR』じゃないですけれど。

三浦:映画館を出るときには忘れてるんですよ。でも15分後くらい経ってから思い出す。「あれ? なんで踊ってたんだっけ?」って(笑)。

比嘉:なんとなく、あとからジワる感じだよね。そのシーンは2分くらいですけど、私たち2〜3時間ちゃんと練習したんだよね。

三浦:そうなんです。みんなで集まって練習しました。僕、ずっとあの音楽が耳から離れなくて。(劇中にあるフラメンコの手拍子をする三浦さん)

比嘉:だけど、それも映画ならではといいますか。「なんでこの流れで?」というのも、ありはありなんですよ。たとえば、タイトルにある通り、お金や遺産相続の問題ってどうしたって身構えちゃうじゃないですか。けれど蓋を開けてみたら、いい意味で裏切られる。だからそういうユーモラスな部分があってもいいのではないかな、と今は思います。

「観ているときは楽しくて、終わった後はほっこりする」新しい映画のカタチ

――おもちゃ箱のようにいろいろなシーンが詰まっているからこそ、さまざまな角度で楽しめる映画かもしれないですね。

比嘉:そうですね。全部が一貫して重いテーマだと、観ているこちらもエネルギーを使ってしまうので、そういう意味では息抜きがある作品だと思います。また翔平くんが面白い。彼の役もなかなか強弱がすごかったと思うんですけど……。

三浦:緩急ですね。

比嘉:そうか、緩急だ。

三浦:そうなんです。やっぱりギャップなんですよ。大切なのはギャップ。

比嘉:(笑)。

そのギャップをもう見事に演じられていて、私の役はあまり緩急つけられない役だったので、そこは映画のバランスを皆さんが素晴らしく作ってくださいました。この作品でより「映画って一人の力ではないんだな」と痛感しました。

――たしかに、三浦さん演じる龍之介が「まさか踊るとは!」と思いました(笑)。

比嘉:そうそうそう(笑)。シリアスもあれば、コメディもあって。

三浦:まだちょっと(踊ることが)疑問ではありますけどね(笑)。

比嘉:でもなんかそれがいいのよ(笑)。

比嘉:委ねるといいますか。

三浦:新しい映画の形だと思います。宣伝では「ハートフルエンターテイメント」と謳っていますが、まさにその通りだと思います。シリアスもコメディーもあり、心温まる作品でもあり、登場人物一人ひとりの心情によって見方も捉え方も変わってくる。観ているときは楽しくて、終わった後はほっこりするし、新しい映画だな、と。

お二人にとって「自分らしい生き方」とは?

――お二人が並ぶシーンで、比嘉さん演じる遙海が「自分らしい生き方を見つける」とおっしゃっていたのが印象的でした。こちらにちなみ、お二人にとって「自分らしい生き方」とはどんな生き方でしょうか?

比嘉:(このインタビューの)時間では、足りないかもなあ(笑)。

――すみません、壮大な問いですよね……。

比嘉:でも、それを模索するのがある意味、人生な気がする。いま答えが見つかっていたら、つまらなくて生きていられないと思うので。

そのときはそのときでいつだって悩んでいたし、今は今の悩みもある。人間関係だったり、己の悩みと葛藤しながら。でもそれを繰り返して「ここだよね」と進んでいくのが、自分らしさなのかな?

そこで妥協したり、諦めたりしなければ、失敗してもなにかしらに繋がるような気がするので。自分らしいと言うと、探求しながら、もがきながら進むのが自分らしいと思っています。

――常に自分の行動を省みて、次の選択に生かそうと考えるタイプですか?

比嘉:そうですね。日々いろんな人と会ったり、人だけでなくて自分の思考や行動をちゃんと内観したり俯瞰したりしながら、肯定したり、反省したり、それを繰り返して学んでいくといいますか。

自分自身のことを気づかないようにすると、それで止まってしまう気がするんですよ。だからなにか大きな成功があったとしても、そこに固執するのではなくて、次に進むためには、また新たなことを挑戦しないとじゃないですか。

それができるのはこの仕事ならでは。毎回がリセットとスタートの繰り返しなので、面白いと思うことは多くて。もちろん、この仕事だけでなくて、いろんな仕事でもその要素はあると思いますけれどね。

――たしかに毎回新しいチャレンジがあって、そこにトライして一つの区切りを迎えるお仕事ですよね。

比嘉:それが面白いから、その深さも感じていて、日々楽しめていますね。なので、探求し続けるのが自分らしさなのかなと今は思います。

――三浦さんはいかがでしょうか。

三浦:わかんないよ(笑)!

一同:(笑)。

三浦:でも何事も楽しむようにしていますよ。楽しめるように努力をする。あとは、流れに身を任せます。

ご縁だと思うので、すべてが。やるべきときにやるべきことが来るし、やらなくていいときはやらなくていいと思っているから、もう本当に流れに身を任せるといいますか。

とにかく流れに逆らわない。今はこれをやるべきときなんだな、と。そのときになれば、そういう話が来たりするので。無理せず、楽しく。

比嘉:そういえば、直感を大切にしてるって言ってたよね? それも直感だもんね。

三浦:「多分これが来るな」「今はこれをやるべきなんだな」というタイミングが、自分でもなんとなく分かるんですよ。たとえば、急に明日から剣道やろうと思っちゃったりしたら……。

比嘉:やる(笑)?

三浦:そういう武士みたいな役が来るのかな? と思ったり。

比嘉:あー、なるほどね。

三浦:呼ばれているというか。やろうと思ったときが、なにかしらに繋がっているんだなと思っています。直感で生きてますね(笑)。

比嘉:すごいいいと思うよ。

お金や相続の勉強をしながら、「許しと愛」を届ける作品に

――最後に、映画を楽しみにされている方に向けてメッセージをいただけますか?

比嘉:翔平くんが言ってくれたように、ハートフルな作品なんですが、成年後見制度をテーマに、遺産相続やお金にまつわる人間関係の難しさも描いている作品です。監督は「許しと愛」がテーマだとおっしゃっていて、まさにそうだと思いました。

自分自身のことも、人のことも許せたときに本当の愛情が生まれる。それをこの作品は一番伝えたかったのかな、と。でも、観てくださった方たちがどう受け取るかは、それぞれでいいんです。だから、純粋に自分がどう感じるか。

今の時代は「こうしなきゃ」ではなくて、それぞれ自分の価値観で経験してきたことを照らし合わせる。それでいいと思っているんですよね。寄り添うような、そっと背中を押してくれる、まさに今という時代にぴったりな作品だと思っています。伝わればうれしいですね。

三浦:いろんな見方ができることですよね。真珠をモチーフにお金や相続の勉強もできるし、家族愛をテーマにした物語でもあります。田中監督がおそらく伝えたかった「今のためではなく未来のために、お金のためではなく愛のために、自分のためではなく人のために」というメッセージ。毎回、監督が入れているテーマだと思うので、なにか一つでも受け取って帰ってもらえたら、温かい気持ちになってもらえたらうれしいなと思います。

あとは、真珠作りが大変なんだぞ! というね。

比嘉:それ、本当に思った!

三浦:そんなところも学べますので。

比嘉:そのまま貝を放っておいてパカッと開けたら、(真珠が)あると思ってたんですけど。

三浦:核を入れて育てて、ね。

比嘉:あらためて職人の技を知れたね。日本の文化だとおっしゃっていたよね。

三浦:きれいなジャパニーズパールは、もう本当にあそこでしか作れないんですって。もう今後はできないのではないかとも言われていますし。

(養殖事業者の高齢化や後継者不足、アコヤ貝の大量死などによって、養殖真珠の生産量は年々減少しているそうです)

そういった社会的な問題にも通じるメッセージもありますので、さまざまな見方でぜひ楽しんでいただけたらと思います。

取材・文:矢内あや
Photo:渡辺美知子

【比嘉愛未】
ヘアメイク:AYA スタイリスト:後藤仁子

【三浦翔平】
ヘアメイク:石川ユウキ スタイリスト:根岸豪

インタビュー前編はこちら

作品概要

『親のお金は誰のもの 法定相続人』  
 
2023年10月6日(金) シネマート新宿、イオンシネマほか全国公開
 
【出演】 
比嘉愛未 三浦翔平
浅利陽介 小手伸也 山﨑静代(南海キャンディーズ) 松岡依都美
田中要次 デヴィ夫人 内海崇(ミルクボーイ)  DRAGONGATE
石野真子 三浦友和

【主題歌】ビッケブランカ「Bitter」 (avex trax)  
【スタッフ】 監督:田中光敏  脚本:小松江里子

【配給】イオンエンターテイメント、ギグリーボックス

【公式HP】https://oyanookane-movie.com/

【公式SNS】
Twitter:https://twitter.com/oyakane_movie 
Instagram:https://www.instagram.com/oyakane

(C)2022「法定相続人」製作委員会

2023年10月15日日曜日

大病院占拠【公式】最終回ご視聴ありがとうございました🙇‍♀️さんによるXでのポスト

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20231006

 


2023年10月14日土曜日

人生には一人ひとりにヒントや扉があって、それを自分自身で開くかどうかが大切 | 比嘉愛未 「人生はリセットとスタートを繰り返すようなもの」 INTERVIEW – ページ 1,2,3 – STREAM




人生には一人ひとりにヒントや扉があって、それを自分自身で開くかどうかが大切 | 比嘉愛未 「人生はリセットとスタートを繰り返すようなもの」 INTERVIEW – ページ 3 – STREAM








比嘉愛未 「人生はリセットとスタートを繰り返すようなもの」 INTERVIEW

ここ最近で演じた中で最も自分の実体験に近くて等身大の役

――映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』 は、時価6億円の「伝説の真珠」を巡る家族の大騒動と、成年後見制度(※家庭裁判所で選ばれた後見人が認知症、知的障がい、精神障がいなどの理由で判断能力が不充分な状況にある方々に代わり、契約、各種の手続き、財産の管理を行う制度。1999年に成立)の問題を描いたストーリーですが、最初に台本を読まれたときの印象を教えてください。

比嘉愛未(以下、比嘉) 相続とかお金にまつわることは絶対に逃れられない問題で、家族の関係性が崩れることもありますし、だからこそ成年後見制度が設けられました。その制度自体は知っていたのですが、台本を読んだときに、成年後見制度を不正に利用する人たちがいて、いろんな問題が起きていることを初めて知りました。それで悩んでいる方も多いですし、他人事ではなく、ちゃんと逃げずに向き合うことが大事だなと思いました。

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――いつ自分の身に降りかかってくるか分からない問題ですからね。

比嘉 まだ親が若いからって大丈夫じゃないんですよね。私自身、親との関係を考えるきっかけにもなりました。ただ、この作品は相続や成年後見制度のお話だけではなくて、そこから繋がる人間関係に至るまでをハートフルにコメディタッチで描かれています。難しいテーマを、重くなり過ぎずにバランスよく描いているところは、田中光敏監督の世界観だなと。押し付けじゃなくて、寄り添ってくれるような作品です。

――比嘉さん演じる遥海は、遺産相続で揺れる大亀家の三女です。

比嘉 遥海は故郷を捨てたといいますか、親との確執があって、いろんなことに絶望し、東京で人生の再スタートを切ります。でも母の死をきっかけに、家族と向き合わなければいけないと地元の三重県伊勢志摩に戻ったところから物語が始まる。正直言って、演じていてつらかったですね。

――つらかったというと?

比嘉 相続とお金の部分は別にして、すごく自分に繋がるところがあったんです。私自身、高校卒業後に俳優を目指して上京するときに親から猛反対を受けました。今だったら親の気持ちも分かりますけど、当時はどうして子どもの夢や目標を応援してくれないんだろうという反発心といいますか、理解してくれないイコール拒絶されていると思っちゃったんです。だけど今は、親の愛で子どもを守りたかったんだろうなと理解できます。遥海も子どもの頃に抱えた傷を、ずっと背負い続けた人。だから遥海を演じるときに、あのときの自分を思い返して、過去の傷を振り返る作業をしたんですよね。私たちのお仕事って、ただ演じるだけじゃなくて、自分の実体験もスパイスになるんですけど、苦しかった過去と向き合う作業はとにかくしんどかったです。

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――確かに遥海はシリアスなシーンが多いですね。

比嘉 田中監督が仰っていたのは、「この映画の登場人物の中で一番つらいのは遥海だ」と。成年後見人である城島龍之介(三浦翔平)も環境は違えど、つらい過去を背負っていますが、だからこそ二人は同じ傷を持った同士で反発しちゃうんですよね。遥海は、ここ最近で演じた中で最も自分の実体験に近くて、等身大の役。だから苦しかったんです。遥海って全般的に笑顔がないんですよ。私自身は感情が豊かに出るほうなので、それを抑えて演じていくうちに、自分のことを内観して思い起こせることもあって、感謝の気持ちもありましたし、それによっての気づきも得ましたし、やりがいのある役柄でした。



比嘉愛未 「人生はリセットとスタートを繰り返すようなもの」 INTERVIEW

Contents

戦うでもなく、無理やりでもなく、相手に委ねながら、相手を信じることが大切

――遥海の幼馴染みを演じる浅利陽介さんは、「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」を始め、共演が多いですよね。

比嘉 浅利くんの存在は大きかったですね。二十代から一緒に戦ってきた戦友なので、彼がいてくれるだけで気負わず、自分らしくいられましたし、絶対的な安心感があります。役柄的に幼なじみという関係性ですが、その空気感はお芝居以外の部分からも出ていると思います。彼がそういうのを引き出してくれる方だから、難しい役も乗り越えられて、とても感謝しています。私にとっての浅利くんって、友達というよりも親戚感が強いんですよね(笑)。

――遥海の母親・満代を演じた石野真子さんとも共演経験がありますよね。

比嘉 以前共演させていただいた映画『大綱引の恋』(2021)も親子役だったんです。だから真子さんの顔を見ると必然的に「お母さん!」という思いになります。

――現場の雰囲気はいかがでしたか。

比嘉 今回、初めましての方がほとんどだったんですけど、伊勢志摩というロケーションが素晴らしかったのもあって、すごく良い雰囲気でした。皆さん個性があって、それによって化学反応が起きて、絶妙のバランスで成り立っている現場だなと。三浦翔平さんと遥海の父親を演じた(三浦)友和さんが、撮影中以外あえて私と接しないように距離を置いてくださったのも大きくて。父親に反発していた遥海が、ちゃんと父親と向き合う大事なシーンで、私は撮影中に感情が高ぶってしまって、手が震えていたんです。カットがかかったときに、友和さんが何も言わずに手をギュッと握ってくださって、それでお互いの思いが通じ合ったなと感じました。

――まさに映画のシーンそのままですね。

比嘉 親子でもないのに、一瞬にして満たされたんですよね。友和さんに、「よく頑張ったね」と言ってもらえた気がして、本当に素敵な先輩と共演できたな、幸せだなと思いました。この経験は一生忘れないし、自分がこの先、役者として一歩一歩歩んで経験を積む中で、同じように後輩の役者さんに手を差し伸べられるような人でありたいなと。そういう人との出会いを通して、ご褒美みたいな経験を得られるから、年々この仕事の面白さや尊さを感じます。

――田中監督とは、以前からご一緒したかったそうですが、どんな印象でしたか。

比嘉 田中監督の作品は、静かに進んでいくんですが、そこに深いテーマがあって、“愛”を感じるんです。それは田中監督自身の愛情であって、伊勢志摩の優しい風景にぴったりだったんですよね。田中監督は撮影中ずっと寄り添ってくださって、本番前もギリギリまでお互いにセッションして、「こう演じてください」じゃなくて、「遥海としてどう思う?」って私の気持ちを尊重してくださるんです。そうやって心の準備を待ってくださって、「もういける?じゃあいこうか」という風に送り出してくださるんですよね。そのやり取りが柔らかいので、「やらなきゃ!」というプレッシャーではなくて、自然と遥海になって、そこにいさせていただきました。田中監督が愛の人だから、それが全体に伝わって、演者もスタッフさんも息の合ったチームになってくるんです。主演の一人として、みんなを引っ張る人はそうじゃなきゃいけないなと、田中監督の姿勢で学びました。戦うでもなく、無理やりでもなく、相手に委ねながら、相手を信じることが大切なんですよね。

人生には一人ひとりにヒントや扉があって、それを自分自身で開くかどうかが大切


比嘉愛未 「人生はリセットとスタートを繰り返すようなもの」 INTERVIEW

Contents

人生には一人ひとりにヒントや扉があって、それを自分自身で開くかどうかが大切

――先ほど上京する際に、親から大反対を受けたというお話がありましたが、いつ頃から俳優という仕事を受け入れてくれたんですか?

比嘉 一番大きかったのは、朝ドラ「どんど晴れ」のヒロインに選んでいただいたときですね。大きな結果を出して、認めざるを得なかったというか(笑)。

――今は親とも腹を割って話していますか?

比嘉 未だに分かり合いつつも分からない部分もありますが、話し合うようにしています。老後についても、今回の映画をきっかけに話していますし、とにかく向き合うことが大事だなと。本音を言い合うのって恥ずかしいけど、踏み出さないと何も変わらないじゃないですか。親に面と向かって「ありがとう」って言うのは難しいけど、機会があれば気持ちを伝えるようにしています。

――何かきっかけがあったんですか?

比嘉 三十代になって、親も絶対じゃないですし、自分も含めて、いつ何があるか分からないと考えるようになったんですよね。悔いがないように毎日を生きようとすると、伝えざるを得なくなったというか、すごく考え方がシンプルになってきたんです。若いときはプライドも高いし、恥ずかしさもあるしで、自分自身をがんじがらめにしちゃうじゃないですか。それはそれで今思い返せば面白いし、かわいいなとも思いますけどね。それぐらい自分を俯瞰して見られるようになりましたし、そうすると生きることって、そんなにしんどくないかもって思ったんです。家族だけに限らず、人間関係において、ちゃんと諦めずに向き合っていけば、すぐにではなくても、絶対に出口というか、道筋を見つけられると信じています。

――焦らずに向き合うことが大事なんですね。

比嘉 田中監督が“赦し”と仰っていたんですが、愛情があるから赦せるわけではないと。実際、血は繋がっていても、上手くいってない家族もあるじゃないですか。だけど本当の意味で赦せたことで、そこから愛情が生まれることもあります。がんじがらめだった遥海も、素直になることで、人生がバーッと開けて物事が好転していきます。この映画を通して、人生には一人ひとりにヒントや扉があって、それを自分自身で開くかどうかが大切なんだと学びました。

――三十代になって意識が変わったと仰っていましたが、お仕事の面でも変化はありましたか。

比嘉 正解がないお仕事ですが、前より後悔みたいなものはなくなっています。完璧主義であることも大切ですが、自分が頑張ったと思えたら、100%じゃなかったとしても、そのときのパフォーマンスで限界を出せたならいいんだと。あとは相手に委ねてみたいな感じで、良い意味で気楽に、現場に臨むようになりました。そういう考え方になったのは、本当に最近で2、3年前ぐらいです。

――どうして、そういう考え方になれたのでしょうか。

比嘉 いろんな人からの助言もありますし、そうとう二十代のときに模索しましたからね。たくさんの作品に出させていただいて、いろんな仲間と出会って、それが刺激になって、時には人と自分を比べてへこむこともあって。様々な経験があったからこそ、人は人、自分は自分って思えるようになって、そうすると自己否定があまりなくなるんです。芸能界は特にそうですけど、どうしても世の中って競争だったり、順位付けだったりと、数字みたいなものが付いて回ってきます。でも、だんだんと「今の時代にそれっておかしいよね?」というふうになってきてもいるじゃないですか。競争するのではなくて、個々のオリジナリティを尊重し合うと争わなくなって、自然と調和して協力し合うんですよね。

――先ほどのお話を聞くと、まさに今回の映画はそういう現場だったんですね。

比嘉 そうなんです。田中監督自身がそういう方だから、ああしろこうしろと言わなくても、自然と調和が生まれるんです。作品作りって勝ち負けではないですけど、戦わずして勝つみたいな、そういう戦い方もあるんだなと。そう考えたときに、二十代の頃の私は、まさに何かと戦い続けていたんです。それって自分に自信がないことの裏返しで、「なにくそ!」と奮起することで、自己肯定をしていたんです。そういう経験があるからこそ、今の価値観にたどり着けたんですよね。行動しないと0にもなれないですし、経験を積んだからこそ一回捨てるみたいなところもあって。やっぱり積み続けると崩れるじゃないですか。だから人生はリセットとスタートを繰り返すようなものかもしれないですね。

Information

『親のお金は誰のもの 法定相続人』
好評公開中!

出演:比嘉愛未 三浦翔平
浅利陽介 小手伸也 山崎静代(南海キャンディーズ) 松岡依都美 田中要次/石野真子/三浦友和

監督:田中光敏 脚本:小松江里子
🄫2022「法定相続人」製作委員会

財産管理の弁護士・成年後見人である城島龍之介(三浦翔平)が、母親・満代(石野真子)を亡くしたばかりの大亀家の前に現れる。大亀家は三重県伊勢志摩で真珠の養殖を営む家で、遺産相続や、父・仙太郎(三浦友和)による時価6億円の「伝説の真珠」が、娘たちの自由にならないことが発覚、巨額な財産を巡る大騒動へと発展。一方で大亀家の三女・遥海(比嘉愛未)は、母を死に追いやった原因は、真珠の養殖を手伝わせた父にあると、恨みを募らせるも、そんな父に認知症の疑いが発覚。「伝説の真珠」の争奪戦が繰り広げられる……。

公式サイト

Instagram

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比嘉愛未

1986年6月14日生まれ。沖縄県出身。2005年、映画『ニライカナイからの手紙』で俳優デビュー。07年、NHK連続テレビ小説「どんど晴れ」でヒロインを演じる。主な出演作に、映画『カノン』(16)『先生!、、、好きになってもいいですか?』(17)『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(18)『大綱引の恋』(21)、『吟ずる者たち』(21)、ドラマ「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」シリーズ(08~17/CX)、大河ドラマ「天地人」(09/NHK)、「DOCTORS~最強の名医~」シリーズ(11~23/EX)、「TWO WEEKS」(19/CX)、「レンタルなんもしない人」(20/TX)などがある。近年では「にぶんのいち夫婦」(21/TX)、「推しの王子様」(21)で主演を務め、「日本沈没-希望のひと-」(21/TBS)「純愛ディソナンス」(22/CX)、「作りたい女と食べたい女」(22/NHK)、「大病院占拠」(23/NTV)、「ケイジとケンジ、時々ハンジ。」(23/EX)に出演。

PHOTOGRAPHER:TOSHIMASA TAKEDA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE:AYA,STYLIST:HITOKO GOTO

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