2023年10月13日金曜日

比嘉愛未、『どんど晴れ』の小松江里子脚本の映画で再び輝く 「17年の成長をみてほしい」 | ENCOUNT - (1,2)

比嘉愛未、『どんど晴れ』の小松江里子脚本の映画で再び輝く 「17年の成長をみてほしい」 | ENCOUNT - (2)

比嘉愛未、『どんど晴れ』の小松江里子脚本の映画で再び輝く 「17年の成長をみてほしい」

演じた遥海と自身の共通点についても語った比嘉愛未【写真:冨田味我】

俳優の比嘉愛未(37)が映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』(田中光敏監督、10月6日から公開中)で主演を務めた。ドラマデビュー作、NHK連続テレビ小説『どんど晴れ』の脚本家、小松江里子さんの作品で、自身の家族への思いと重なる部分があった、と明かす。

 俳優の比嘉愛未(37)が映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』(田中光敏監督、10月6日から公開中)で主演を務めた。ドラマデビュー作、NHK連続テレビ小説『どんど晴れ』の脚本家、小松江里子さんの作品で、自身の家族への思いと重なる部分があった、と明かす。(取材・文=平辻哲也)

 2005年、映画『ニライカナイからの手紙』で女優デビュー。07年、NHK連続テレビ小説『どんど晴れ』で2000人以上のオーディションでヒロインを勝ち取った比嘉。本作は『どんど晴れ』の脚本家、小松江里子によるものだ。

「小松さんとのお付き合いは17年目になるんです。小松さんは親のような、お姉さんのような存在で、いろいろと相談も乗ってもらっています。小松さんがいつかまた私と一緒に作品を作りたいと言ってくれて、今回その願いがかないました。お話を聞いた時、すぐに参加したいと思いました」

 演じるのは風光明媚(めいび)な三重県伊勢志摩で、真珠の養殖を営む両親(三浦友和、石野真子)を持つ三姉妹の三女、大亀遥海。母の連れ子で、義父とは距離を持ち、血縁関係のない長女、次女とは確執がある。「見せたいものがある」という亡き母からのはがきで久々に帰郷し、血のつながらない家族と初めて向き合う。そこに、父の後見人を名乗る弁護士(三浦翔平)が介入。相続、家族、成人後見制度などさまざまな現代的なテーマが織り込まれている。

「遥海は、家族との確執から地元の伊勢志摩を離れ、自分だけの人生を歩むことにした人物です。彼女は心を閉ざし、自分を出せない状態で登場します。物語の中で彼女は母親の死をきっかけに変わっていく姿を描かれています。あまり笑わないキャラクターなので、演じるのは本当に辛かったです。しかし、その辛さを通して、多くの人たちの心の傷みに寄り添える作品になったらいいなと思いました」

 メガホンを取ったのは『利休にたずねよ』や『天外者』で知られるベテラン田中光敏。その配慮や優しさには感謝する。

「田中監督は、私が初めてお会いするタイプの監督でした。監督は非常に純粋で、愛にあふれている方です。一緒にいると、心が清められるような気がします。自分の感情をぶつけるシーンでは撮影が始まる前から、じっくりと話し合いをして、お互いのタイミングで撮影に臨んだんです。多くのスタッフに待ってもらうこともありましたが、監督は効率を追求するのではなく、キャストが心の準備ができているのを確認し、見守ってくれる方でした。そんなことは、深い愛と覚悟がないとできないことだと思います」

 劇中では、共演者にも助けられた。ダブル主演の三浦翔平と本格的な共演は初めて。

「作品中で対立する役となっていたので、距離を保つような演技が求められました。石野さんとは、以前映画でお母さん役を演じてもらった経験があり、その経験が今回の役作りにも役立ちました。同じ関係性の役を再び演じることは珍しい経験でしたが、とても貴重で楽しいものでした」

 一番緊張したのは、三浦友和との初共演。劇中では実母の再婚相手という関係性だ。

「役柄上、最初は距離を置いて接してくださったのですが、撮影期間を経て、私を食事に誘ってくれたり、次第に距離が縮まっていきました。非常に経験豊富な方ですが、とてもチャーミングで、まるで少年のような心を持っているんです。生き様は本当にかっこよく、友和さんの姿を見て『こういうことをおっしゃるのか』と感じました」

 特に感動的だったのは、主人公が初めて義父に向き合うシーンだ。「撮影後、感情が高ぶり震えていた私の手を、友和さんがギュッっと温かく大きな手で握ってくれました。言葉ではなく、その手で感じる愛情に深く感動しました」

 映画では、社会的に問題となっている成年後見人制度をモチーフに、遺産相続と親子関係、家族関係に焦点を当てているが、比嘉自身の経験も重なる部分があるのだという。03年にモデルデビューした比嘉は、05年の蒼井優が主演を務めた映画『ニライカナイからの手紙』に地元高校生役で出演したことをきっかけに、女優を目指し、上京する。

「私が役者を目指し上京しようとした時、親からは理解されず、反対を受けました。それがきっかけで、親との間に距離を感じるようになりました。絶縁というほどではないですが、私は自分の道を選ぶという強い意志を持つことができました。一方、諦めずに向き合うことで、真の愛情ある関係を築けると信じています。これは人間関係全般にも同じことが言えると思います。私自身も親との関係で多くのことを学び、今の関係を築けているのは、向き合った結果だと思っています」

 芸能生活はモデル時代を含めると、20年。『どんど晴れ』と本作は大きなつながりを感じている。

「朝ドラは大きな転機でした。親の反対を押し切って出演した作品で、その中で私はある意味、孤独を感じていました。しかし、その中でキャストやスタッフからの温かさを感じ、家族のような関係が築けることを実感しました。血のつながり以外にも家族のような絆が存在することを学びました。この作品に入る時、実はとても緊張していました。この作品が私の過去の経験や朝ドラの時の感情とつながっているからです。でも、それを乗り越えてこの作品を一緒に良いものにしていこうという気持ちで取り組むことができました。私自身の成長も見てもらいたいと思っています」と強い思いを込めた。

□比嘉愛未(ひが・まなみ)1986年6月14日生まれ、沖縄県出身。2005年、映画『ニライカナイからの手紙』で女優デビュー。07年、NHK連続テレビ小説『どんど晴れ』でヒロインを演じる。主な出演作に、映画『カノン』(16年)、『先生!、、、好きになってもいいですか?』(17年)、『コード・ブルー―ドクターヘリ緊急救命―』(18年)、『大綱引の恋』(21年)、『吟ずる者たち』(21年)、ドラマ『コード・ブルー―ドクターヘリ緊急救命―』シリーズ(08~17年/フジテレビ)、大河ドラマ『天地人』(09年/NHK)、『DOCTORS~最強の名医~』シリーズ(11~23年/テレビ朝日)、『TWO WEEKS』(19年/フジテレビ)、『レンタルなんもしない人』(20年/テレビ東京)など。近年では『にぶんのいち夫婦』(21年/テレビ東京)、『推しの王子様』(21年/フジテレビ)で主演を務め、『日本沈没―希望のひと―』(21年/TBS)、『純愛ディソナンス』(22年/フジテレビ)、『作りたい女と食べたい女』(22年/NHK)、『大病院占拠』(23年/日本テレビ)『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』(23年/テレビ朝日)に出演。

https://encount.press/archives/526743/2/

比嘉愛未、『どんど晴れ』の小松江里子脚本の映画で再び輝く 「17年の成長をみてほしい」

【写真】「私自身の成長も見てもらいたい」明るいグリーンの衣装で笑顔を見せた比嘉愛未のアザーカット

【写真:冨田味我】

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