比嘉愛未さんが選んだ1冊は?「苦しくなるけど何度も読んでしまう、私にとって最高のバイブルです!」
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、比嘉愛未さん。
(取材・文=倉田モトキ 写真=TOWA)
「悩んでるときに必ず読み返す、私のバイブルです。この本を紹介する機会を与えてくださって、ダ・ヴィンチさんには本当に感謝です!!」
advertisement
驚くほどの熱量で比嘉さんが勧めてくれたのは『アミ 小さな宇宙人』。装丁からは児童書のような印象を受けるが、一たびページをめくると溢れる至言に驚かされる。
「いきなり『地球は未熟だ』という前提で始まるんです。衝撃的でした。この物語の中で宇宙人は地球を救済するために頑張ってくれていて。宇宙人のアミも少年・ペドゥリートに人としての正しい行いを優しく説いていくのですが、やがて、それらの言葉が全部自分に刺さってくる。だから、読んでいて苦しくなるんです」
描かれているのは戦争や環境問題、はては人間関係まで。外から地球を見続けてきたアミの言葉には、よそ者の俯瞰だからこその説得力が宿る。
「私がこの本を読んで最終的にたどり着いたのは、愛と感謝こそが全てという考えでした。どんなことにも愛を注ぎ、感謝の想いを添えれば、幸福となって自分に帰ってくる。それも些細なことでいいんです。小さなことに幸せを感じるようになればなるほど人は最強になれる。そうしたことをアミは教えてくれるんです」
「放送中の『作りたい女と食べたい女』で野本さんを演じているときも同じ感覚でした」と比嘉さん。
「人・物・コトといった概念を超え、目の前のものを素直に愛せばいい。それはアミの言葉に通ずるなって」
料理好きの野本さんは、自分の作った食事を隣人の春日さんが食べてくれることに至福の喜びを感じる女性だ。やがて彼女は、二人の関係に今まで味わったことのない特別な愛情を感じるようになる。
「レズビアンや性的マイノリティがテーマになっていますが、同時に"自分とは何か?"を考えさせられるドラマだと感じました。野本さんはとてもピュアな女性で、世間で当たり前とされる価値観の違いで悩んでいたこともある。でも、春日さんとの出会いが彼女を大きく変えたんです。自分が一番幸せになれる相手が女性だった。それだけのことなんです」
人はとかく"世間"の目に囚われがちだ。
「でも、自分らしく生きることができれば心が開放され、日々が楽しくなり、やがて自分を愛せるようになるんです。この作品を通して"人はこうであらねばならない"という偏った思考がなくなり、自由に人生を楽しめる人が増えてほしいです」
ひが・まなみ●1986年6月14日生まれ、沖縄県出身。NHK連続テレビ小説『どんど晴れ』のヒロインを演じ、一躍脚光を浴びる。主な出演作に、ドラマ『にぶんのいち夫婦』『推しの王子様』『純愛ディソナンス』、映画『吟ずる者たち』、舞台『怖い絵』など。今年、3rd写真集「本心」(集英社)を発売。
ドラマ『作りたい女と食べたい女』
原作:ゆざきさかおみ(『作りたい女と食べたい女』/KADOKAWA) 脚本:山田由梨 制作統括:坂部康二、大塚安希、勝田夏子 出演:比嘉愛未、西野恵未、森田望智、中野周平(蛙亭)、野添義弘ほか 月~木/夜10:45よりNHKで放送中
●一人暮らしの野本さんは仕事のストレスから、大量の料理を作ってしまう。そのとき、思い浮かんだのが隣人の春日さん。彼女の豪快な食べっぷりに感動し、その日を境に二人の交流がスタートする。
0 件のコメント:
コメントを投稿