2020年5月27日水曜日

RIM.ARK 2020/05/27

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RIM.ARKが注目する女性をフィーチャーしてお届けする
この企画。第2回は、女優の比嘉愛未さんをお迎え。
化学変化を楽しみたいと語るファッションシュートと
“今”に迫るインタビュー、必見です。


























QUESTION & ANSWER 15

比嘉愛未さん
Q1.
ご出身の沖縄について、どんな思いをお持ちですか?
沖縄に帰ることは、ある意味自分にとってのデトックス法なんです。アラームをかけなくても、沖縄にいると風の音や海の音、鳥の声で朝を感じて自然と起きられる。都会にいると、TVとかスマホとか、デジタルと密接ですよね。色んなものに囲まれて多くを溜め込んで、余裕がなくなってるな、と感じることが時々あります。だからこそ、シンプルな場所に身を置くことで余分が削ぎ落とされて五感が研ぎ澄まされていく。沖縄は“ちゃんと感じる”ことを取り戻せる場所ですね。
Q2.
そんな沖縄で、ご自身が癒しを感じられる場所は?
本島中部のうるま市の東側にある、浜比嘉という離島。あまり知られていませんが、パワースポットなんですよ。沖縄には、地元の人が拝みに行くような神聖な場所があちこちに点在していて。琉球王朝の時代から、王様のそばには必ずユタと呼ばれる占い師がいたと言われるくらい、スピリチュアルな力を信じてきた文化がある。それが頷けるくらい、浜比嘉に上ってくる朝日のパワーはすごい。帰るといつもベランダから眺めています。毎回、浜比嘉にひとりで行って「いつもありがとうございます」っていう感謝の気持ちを携えながら、しばらく時間を過ごしてパワーチャージする。これも習慣。清められていく感じがします。
Q3.
ハマっていることや続けていることはありますか?
カラダを鍛えることは好きですね。週何回って決めずに、時間が空いたタイミングで今は3つ通っています。キックボクシングとパーソナルトレーニング、あとは「バーオソル」といって、床の上で行なうバレエエクササイズ。寝た状態や座った状態で、自分の体重を利用しながら2時間ほど動くんですが、これが見た目よりもかなりハード。でも終わったあと、普段のゆがみに気づけるくらいカラダの軸がスッと通る実感があって、それが気持ちいい。いくつかの選択肢から、そのとき心とカラダが求めるものを、という感じで。ストイックになりすぎず、気分転換も兼ねて続けています。
Q4.
好きな本のタイトルを教えてください。
原田マハさんの『本日は、お日柄もよく』。ドラマ化した際に主演させていただいた作品でもあって、スピーチライターという職業のお話です。私も仕事柄、脚本にある言葉をセリフとして伝えていますし、自分の言葉で語る場面もある。だからこそ、この本を読んでよりいっそう言葉の持つ力や影響力を再確認しましたし、言葉の重みを改めて学ばせてもらった。主人公が同じ女性としてすごく愛おしくなってくるんですよ。女性なら、きっといい影響を受けるんじゃないかなって思います。
Q5.
好きな映画についても伺いたいです。
何度も観返してるのは『食べて、祈って、恋をして』。女性って人生の段階を踏むごとに、キャリアや結婚、出産と悩みを持つじゃないですか。これは、ジュリア・ロバーツ演じる主人公が人生に迷って、インド、イタリア、バリと旅をするお話で、旅先での出会いや経験を通していろんな気づきを得ていくんです。私も、年に一回は自分へのごほうびも兼ねて海外旅行をするって目標を立てていて。旅の前にこれを観ると、海外へのちょっとした緊張感から解放されて、旅する地に自然体で染まれるといいなって思える。いろんなものを吸収しようってポジティブな感覚を持てるんですよね。
Q6.
同じ沖縄出身のバンド、HYさんと交流が深いそうですが、好きな曲って?
毎回歌うと泣きそうになるのは「あなた」。熱唱するなら「366日」。「ホワイトビーチ」も聴くとテンションが上がって好きだし……これは選ぶの苦行です(笑)! もともと、中学生の頃からHYさんの大ファンで。いーずー(仲宗根泉)さんの歌声はもちろん、メンバーの仲の良さが伝わってくるというか。ライブも、「おかえり!」ってすごく温かいムードで包み込まれる感じがして、もう最高です! 取材のたびに「HYさん、好きです」と公言していたら、あるときTV番組の対談収録に呼んでくださって。有難いことに、そこから親しくさせていただいています。
Q7.
海外に多く行かれていますが、印象に残っている国はどこですか?
昨年訪れたパリです。何を食べてもとにかく美味しかった。それこそ、フラッと入ったレストランでも感動したり(笑)。食がフィットしたんでしょうね。価値観が変わったなと思うのは、モロッコ。信仰心が厚い国で、至る所にモスクがあって、時間になると皆こぞってお祈りに行く。その文化に直に触れ、日本と世界との生活の違いを改めて肌で感じましたね。人が皆穏やかで、優しく接してくれたのも印象的。それに、スパイシーなイメージだったモロッコ料理も実際はそんなことなくて、美味しいんですよ。タジン鍋とか蒸し物だからヘルシーだし、和食同様に飽きがこないというか、日本人向けの味かも。直行便がないぶん少しハードル高めに思えるかもしれないけど、時間があればパリとかトルコとか、トランジットの地も含めて楽しむ気持ちで。もう一度訪れたい国ですね。
Q8.
憧れの人はいますか? もしくは「カッコよく生きてるな」と思うのはどんな人?
身近すぎますが、母ですかね(照)。アロマの勉強をしていて、よく東京に来るんですけど。忙しいときも精神的に落ち着くようにと、手作りで調合したアロマをくれたりして。それこそ、母がアロマを学びはじめたのはブームになる随分前でした。絶対いいからみんなに広めたい!って信念みたいなものがすごくて、そのまま突き進んできた感じですね。いつも何かにワクワクしてる人。子育てして仕事して、そのうえ自分も常に進化して。日々のことをこなすんじゃなく、興味の対象を見つけては楽しんでる。本当にすごいなって娘ながら思います。こないだも食事中に「次こういうことやりたいから頑張らなきゃいけないのよ」って話す姿見てたら、「かっこいいな」って普通に思ったんですよね。美容面も頑張っていて、女子力、何なら負けてると思う(笑)。母というよりも、むしろ師匠みたい。「この歳になっても、私みたいにいられる?」って言われたこともあって(笑)。母であり、ライバルであり、親友でもある。特別な存在で、憧れの人です。
Q9.
座右の銘や、好きな言葉はありますか?
大変な局面に立たされたときに思い返すのは、“ぬちぬたから”。おばぁがいつもいう言葉で、沖縄の方言で“命こそ宝”って意味なんです。「命があれば大丈夫、何度でもやり直せるよ」って思いが込められていて、“なんくるないさー”の精神が反映されてる。おばぁはサラッと言っていましたけど、戦争を経験してあの歳まで生きてきたうえでの重みというか。「生を受けたことに感謝して、挫けずに立ち向かっていれば、いつかいい日が来る」ってことだろうなと、私は解釈しているんです。
Q10.
ご自身の性格を自己分析すると?
頑固ですね、よくも悪くも。あと、いろいろと放っておけないというか、どうもお人よしな一面があります。それで痛い目に遭うことも(笑)。でもその性格は変わらないだろうな。家族のことは私がケアしたいという使命のような思いもあって、長女っていう責任感が全てのベースにあるのかもと。
Q11.
今どんな結婚観をお持ちか、伺えますか?
歳と共にシンプルになってきました。以前は世間的な価値観で、この歳までにはしておかないとな……と考えたりもしましたが。今は仕事をしていくのを前提に、大切なものが定まってきて、心地いい人間関係が構築されてきて。そこを守りつつ、無理なく一緒に過ごせる人がいるなら、いくつになってもいいのかなって。あ、強がりじゃないですよ(笑)? 結婚に対する視点がだいぶフラットになったのもあると思います。それは人に対しても同じで。年齢や肩書きと関係なく、中身を見るというか。大切なのは、本質をちゃんと見抜けるようになることですよね。
Q12.
これまでの人生で“分岐点”だったと思うのは、どのタイミングでしたか?
この仕事をやりたいと思ったときが、すでに分岐点だったのかもしれません。もともと沖縄でモデルのお仕事をしていたんですが、初めて機会をいただいたお芝居の現場で、セリフが言えず何十テイクもやってしまって……。できない自分が不甲斐なくて、人生初の大きな挫折でした。その悔しさが原動力になり、両親に頼み込んで。猛反対されたんですけど、不思議と揺るがなかった。貯金20万で上京しましたけど、なぜか漠然と大丈夫って思えたんです、何の保証もないはずなのに(笑)。ここで頑張らず沖縄にいたら一生後悔する!って強く思っていたんでしょうね。
Q13.
(幅広い役を演じられてきた中で)思い入れが深い役はありますか?
『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』は、やっぱり役者としてすごく成長させてもらえたし、一生の宝物だと思っています。1stシーズンが2008年ですから、出演者も私を含めてみんなまだ若くて。今思えば、まぁ尖っていたというか(笑)、ある意味、勝負じゃないですか20代前半って。それに、役柄としても自分と正反対のクールな役どころで、専門知識とか学ばなきゃいけないこともたくさん。ドラマの内容的に重いシーンが多かったりもして……最初は苦しかったです。でもその分、観てくれる方たちの反響が大きくて。お芝居って、こんなにも人に力を与えられるんだって純粋に実感した作品でもあります。3年前の3rdシーズンも、演じていてこれでもか!ってほど、つらい場面が多かった。その時々の思いを共有している出演者の方々とは、もはや同志のような心持ちですね。
Q14.
30代半ばに差し掛かる今、20代後半からの日々を振り返ってどんなふうに感じられますか?
20代後半のほうが苦しかった。ずっと全力で走っていた感じ。年上の先輩たちが言っていたんですよ、「いい意味で、どんどんラクになるよ」って。経験を積むことで自分の受け皿が大きくなっていくってことなんでしょうけど。「あぁ、そのために20代後半はダッシュしてたんだ」って今思います。挑戦し続けたいって気持ちは変わらずあるけど、“がむしゃら”っていうのとはまた違って。流れに身を委ねつつ、そこに自分なりの何かをプラスして表現できればなと。気負わなくなったかも。“今”の瞬間をちゃんと楽しもうと思っています。例え大変なことがあっても「ずっと続かないから大丈夫。乗り越えたらもっと大きくなれるから」って。そういうふうに考えると、歳を重ねるのも怖くない。
Q15.
最後に、今の比嘉さんのスタンスを含めた今後について聞かせてください。
ただひたすら誠実に、ひとつひとつ向き合いたいなという気持ちは変わりません。そのうえで流れにちゃんとのるというか。流されすぎてもダメなんですよね、自分のペースで前進しなきゃいけない。流れにのるっていうのは、流されるんじゃなくて、ちゃんと自ら舵をとって漕いでいくってこと。そうすることで、ひいては自分の中から澱みのようなものがなくなっていく気がします。「なんかいいね!爽快だね!まーるい感じだね!」って言われる人でありたい。人に緊張を与えたりしない、クリアで柔らかい印象を持った人。その感じってゆとりにも繋がるでしょうし、余裕にも見える。私自身、そういう人たちが好きなので、自分もそうなれたらいいなぁと思っているんです。

PROFILE

ひが まなみ1986年6月14日、沖縄県生まれ。2005年に映画デビューを果たし、2007年のNHK連続テレビ小説『どんど晴れ』でヒロインを務めると瞬く間に人気女優の道へ。シリーズ化した『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』の他、話題の連ドラに数多く出演。幅広い役柄をこなす演技派女優との呼び声も高い。現在、ドラマ『レンタルなんもしない人』では夫“レンタルさん”の活動を温かく見守る妻役を好演中。また、映画『大綱引の恋』が公開を控えている。

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