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比嘉愛未さん、映画『吟ずる者たち』で主演 30代になってから「固定観念がどんどんはずれて楽になった」
――現在、35歳でいらっしゃいますが、俳優として、また一人の女性として年齢を気にされますか?
比嘉愛未(以下、比嘉): 30代になってから、自分の中の固定観念がどんどん外れて楽になったんです(笑)。もっと色々なことにチャレンジして、いい意味でみなさんを裏切るようなこともやっていきたいと思っています。「35歳だからこれを」とか「35歳だからこれはダメ」と自分で限界を決めずに、今できることを全力で楽しむようにしているので、お仕事がすごく楽しくておもしろいです。
「私ってこのままでいいのかな?」
――今回演じた明日香は東京で夢破れ、故郷の広島に戻ってきます。ご自身の共通点はどこかありましたか?
比嘉: 私も明日香と同世代。地元に帰ると同世代の友達たちは、もう結婚して子どもも大きくて、というのを目の当たりにします。ふと「このままでいいのかな?」とか「自分はどう進んだらいいんだろう」と立ち止まって考えてしまう気持ちは分かりますね。
明日香も色々なことがあって地元に帰り、家のことを考えたり昔の自分の気持ちを思い出したりして「一旦ゼロに戻ってみよう」と思った。すごく共感できる部分でした。
――作中では、何度も試して改善するという意味の「百試千改」という言葉が、たびたび出てきます。この言葉の精神は、お芝居にも通じますか。
比嘉: ありますね。私は役者という仕事は正解がないと思っているので、折れない心をもってチャレンジし続けるしかないと思っています。それに、「百試千改」の精神は今の時代を生きる私たちが見習うべき点がたくさんあると思うんです。
最近、「ストレス」という言葉をみんな口癖のように使っているなって思うんですよ。昔は「ストレス」という言葉自体、そんなに浸透していなかったし、どんなに大変な状況の中でも耐えて、どんどん進む道を切り開いていくのが通常のことだったはずなのに。
今は便利になり過ぎていて、メンタルが弱くなっているなと感じるところもあります。今はコロナ禍でみんな気持ちが落ちてしまっているからこそ、「百試千改」の精神を学んで「日本人ってもっと強いはずだよね」って思えたらと思います。
自分軸で見て、考えることが大事
――telling,の主な読者は20~30代の女性で、その中には「やりたいことが見つからない」「やりたいことはあるけど踏み出せない」という人も多い印象です。アドバイスをお願いします。
比嘉: 「やりたいことが見つけられない」という漠然としたモヤモヤを抱えているのは苦しいですよね。でも、人それぞれ人生の流れやタイミングがあると思うので、焦って探すことでもないと思います。
私がみなさんに一番気をつけてほしいと思うのは、ちゃんと自分軸で見て、考えて生きて欲しいということ。この年代の女性は、婚期や転職など周りの価値観があり、どうしても比べられたり、自分でも比べてしまったりするけれど、その時期ってみんな違っていいんですよ。だから焦らないで「なんで悩んでいるんだろう」とか「私ってどういう人だっけ?」とゆっくり自分に向き合う時間を持つといいと思います。
――焦ってしたことって、後から後悔することが多いですよね。
比嘉: そもそも、どんな人と出会うか、どんな巡り合わせで、どの仕事に就くかさえ、誰にも分からないじゃないですか。だから、そこで卑屈になるのではなく「いい出来事を引き寄せるぞ!」という自分のマインドをしっかり持つことが大切だなと思っています。
それに、みなさんそれぞれ「自分のときめき」ってあるはずなので、その自分の感覚を大事にしてあげるといいと思います。自分で自分のことを愛し、大切にしてあげることができてから初めて、人に優しくすることができますから。
――立ち止まったり振り返ったりすることは、決して悪いことではないのですね。
比嘉: 大事なことですよ。でも、こんな風に偉そうに言っている私も、20代の頃はたくさん悩んで人と比べて、自信を失くして……という経験をしてきました。だから今は、そういった感情の波をコントロール出来るようになったんです。この先も、どういう波がくるのかわかりません。だけど自分の中で今から心づもりをしておけば、あまり苦しくならないんじゃないかなと思っています。
●比嘉愛未(ひが・まなみ)さんのプロフィール
1986 年、沖縄県生まれ。2005年、映画『ニライカナイからの手紙』で女優デビュー。NHK朝の連続テレビ小説「どんど晴れ」(07)でヒロインを演じる。主な出演作に、映画「飛べ!ダコタ」(13)、「カノン」(16)、「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」(18)、「大綱引の恋」(20)、 ドラマでは朝の連続テレビ小説「なつぞら」(19)、「にぶんのいち夫婦」「推しの王子様」(21)、「日本沈没-希望のひと-」(21)など。
ヘアメイク: Seiichi Okuhara(suzukioffice)/スタイリスト:後藤仁子
監督:油谷誠至、脚本:仁瀬由深、安井国穂
出演:比嘉愛未/戸田菜穂 渋谷天外 ひろみどり 今井れん 中尾暘樹 中村久美 奥村知史/丘みつ子/大和田獏/中村俊介
配給:ヴァンブック
3月25日(金) シネ・リーブル池袋ほか全国で順次(広島では2021年11月5日より先行上映)
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